息切れと浮腫 ~自覚症状は他人との比較ではなく、自分の中で比較せよ~

息切れと浮腫様々な病気には自分で感じる症状『自覚症状』がありますが、自覚症状とは自分が感じる主観であり、人によって異常だと感じる程度は異なります。

つまり、自分では病気だと思っていた症状が検査では異常なしであったり、逆に、自分ではたいしたことないと思っていた症状が、実は重大な病気だったりします。

心不全の自覚症状には労作時の息切れと浮腫があります。

今まで健常であった人が平地を50m歩いただけで息切れで歩けなくなるとなれば明らかに病的かもしれませんが、高齢の方が階段を登ると息切れがするでは人によっては体力の低下だけでもありえるため、それが病的であるかどうかの判断は難しい。

浮腫も同じで、夕方に足がむくみっぽい感じがして靴がきつくなったりするのは長時間の立ち仕事でも起こりますが、足についた靴下の跡がいつまでも消えない、指で押すとはっきりと指圧痕が残る、などは病的でしょう。

また、浮腫んでくれば体重が増加します。体重が月に1kg増えることはあっても、1週間で1-2kg以上増えてきたら病的なものを疑いますよね? 今述べた基準はあくまで私個人の主観基準であって、人により賛同できない方もいるかも知れません。

『自覚症状』は、あくまでその人の中の基準であり、人によって正常と異常の程度が違うため、患者様が訴える自覚症状からの正常・異常の判断は難しいのです。

ただし、ある特定の個人の中では判断基準は変わりません。

つまり、ある80歳代のAさんが家の階段を昇ると息切れがすると言われても、歳のせいにしがちになりますが、そのAさんは、以前は畑仕事もして、週3回は春日山階段も昇っていたと言われれば、家の階段で息切れがするのは病的だと思います。

つまり、ある特定の個人の中での自覚症状の変化の方がより重要だと思います。そんなところを私達は意識して診ています。異常を感じるようであればご相談ください。